アメリカから賞賛されたひとりの日本軍兵士の物語。「 太平洋の奇跡 – フォックスと呼ばれた男 」

時代は1944年、太平洋戦争の末期です。壮絶を極めたサイパン島で民間人を含む300人近い集団を統率し、一年以上民間人を守りながらジャングル の中やタッポーチョ山で命がけで民間人を守り抜き、自らの義も貫いた 日本陸軍の大場栄大尉(おおばさかえたいい)らの512日にわたる戦い。それは終戦した後にも続き、後半は民間人の命を優先させ、兵士達だけでジャングル に潜伏しゲリラ活動を続けた。最終的には生き残った兵士数十名と共に投降に応じた。

この映画の原作となった作品は邦訳『タッポーチョ 太平 洋の奇跡』である。作者自身が当時敵側のアメリカ兵士であったドン・ジョーンズ氏によるものという信じられないような立場からの視点で書かれた実話です。 ドン・ジョーンズ氏は戦後日本を訪れ(昭和40年)大場元大尉に取材してこの本を書き残したといいます。その時、劇中に出てくる大場大尉の軍刀を探し出し 実際に手渡したというのは有名な話になりました。

太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男のあらすじ

舞 台は太平洋戦争末期のサイパン島。絶大な兵力を誇る米軍との熾烈な戦いの中、迎え撃つ日本軍は玉砕攻撃を仕掛けます。その後生き残った大場栄大尉(竹野内 豊)率いる陸軍歩兵連隊は47人の兵士達のみという状況下であった。その後も上陸したアメリカ軍は、圧倒的火力で日本軍を圧倒していきます。大場大尉は 残った兵士達を引き連れ、ジャングルの中に逃げ込みゲリラ作戦という戦略をとります。

そのゲリラ活動中に大場部隊が出会ったのが、海軍の生き残りが保護し ている民間人たちでした。大場大尉は帝国軍人としての戦いがあることを理由に最初は民間人の保護を拒否しますが、米軍に攻撃される民間人をほうっておけな く同行して守ることを誓い守り抜くことになる。

一方、米軍側のルイス大尉は大場大尉に降伏を勧告しに行きます。一旦は決裂したりもあったがルイス大尉は粘 り強く交渉の準備などをして大場大尉達が投降出来るように死力を尽くした。最終的に大場大尉率いる陸軍歩兵連隊の多くも無事投降することになり、最後は整 然と整列し軍歌を歌いながら投降場所に向かっていった。

太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男のみどころ

この映画の凄い ところはまず、実話を元にしているということ。しかもただ単に歴史を参考に書いているのではなく、当事者の視点から描かれている点がメインとされているこ とにあると思います。

しかも実際に米軍側に居て直接この戦いに関与した人物の手記なわけです。それを踏まえて観るだけで他の戦争映画とはひと味違う感覚で 観ることができます。そして見どころと言えば日本軍の規律や正義感、忠誠心の高さだと思います。

決して戦争を美化するつもりはないですが、武士道的なすば らしい心の持ち方や考え方などは観ていて誇らしいものがあります。特にラストの投降シーン。待ち構える米軍はダラダラと適当な感じで兵士達も軽い気持ちの 顔で居ます。彼らからしたらずっと山にこもって手を焼かしてくれたモンキー達がやっと降りてくるくらいの気持ちだったのでしょう。しかしどこからともなく 歌が聞こえてきます。日本の軍歌の「歩兵の本領」です。日本語がわからない彼らが来たとしてもこのリズムと歌い方は規律ある軍歌だと感じるでしょう。

軍歌が近づくにつれ理路整然と整列して更新してくる歩兵達が見えてきます。自分たちより軍人らしい軍人達があらわれて皆ザワザワっとなりだします。その行進か ら止まって整列、敬礼まで一部の無駄な動きもありません。そして通常ならジャングルでの生活でボロボロなはずの軍服も、汚いなりにもしっかり綺麗に整えて います。唖然とする米兵を前に大場大尉が儀式を始めます。

他見どころも多いですが、このラストだけでこの映画が素敵なものになります。

タイトル 太平洋の奇跡 - フォックスと呼ばれた男
監  督 平山秀幸
出  演 竹野内豊
製作・配給会社 東宝
公式サイト 公式ウェブサイトの情報は見つかりませんでした。
公 開 日 2011年2月11日
上映時間 128分
著作権情報 すべての映像及び画像の著作権はすべて著作者に帰属します。

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