「連合艦隊司令長官山本五十六」は当時の日本海軍の様子を知るのに非常にわかりやすい映画です!!

「連合艦隊司令長官山本五十六」は当時の日本海軍の様子を知るのに非常にわかりやすい映画です!!

皆さま、「戦争映画が好きだ!」コラムサイトでは初めましてです。

普段は普通のリーマンしている、戦車とガルパンとアニソンDJをこよなく愛する、ミリオタフリーライターの金剛と申します。

今回、こちらのコラムでも投稿させていただくことになりました。皆さまよろしくお願いいたします。

さて、筆者自身、ミリオタというものの、もしかしたら皆様ほど、戦争画を見ていないかもしれませんが、何とか書いてみようと思います。

連合艦隊司令長官山本五十六

今回は、筆者の中では結構好きな映画なのですが、「連合艦隊司令長官山本五十六」をご紹介いたします。

ちなみに、映画を良く知る人の中には「三船敏郎の?」と聞かれるのですが、筆者は「いや、役所広司さんの」って言います。ちなみに筆者が一番好きな俳優さんが役所広司さんです!

また、この映画の中心人物たちのキャストがすげー豪華!!主役山本提督は、役所広司さん、当時の海軍ナンバー3位の「井上成美軍務局長」役には、柳葉敏郎さん、そして、日本軍人の超有名人、第二航空戦隊司令「多聞丸」こと「山口多聞中将」には阿部寛さん、とか超豪華でしょ(笑)

という、演技派で超カッコイイ俳優陣が際立つ名作です!!

連合艦隊司令長官山本五十六 の所々で見られる本当の歴史

さて、この話はご存知、栄光の日本海軍連合艦隊を率いた「山本五十六」の海軍での生涯を描いた傑作ともいえる作品です。この映画のテーマは「戦争に反対だった山本五十六が開戦に踏み切ったか」です。

ちょっと話はそれますが、最近ではアニメ「艦隊これくしょん」等で、このような旧海軍の艦艇等が認知されるに至っておりますが、よくコスプレイベントに登場する、白服の提督がいます。ゲーム、アニメ艦これに名前で登場する「提督」こそ、この山本長官をモデルにしていると思います。

この映画では、ポイントは2つ(に絞ります。あまりにも長くなってしまいますので(笑))です。

 

1つ目は、山本は開戦には反対だった。

2つ目は、海軍を「航空主兵」に転換した

 

以上の2つにあると思います。

なぜ山本長官は開戦に反対だったのか?

 この物語は、山本長官が海軍省ナンバー2にいた、海軍次官の時代の1939年から始まります。

1939年と言いますと、その年の9月にはドイツのポーランド侵攻が始まり第二次大戦がはじまる時期で、当時日本は日独伊三国同盟の締結を迫られていました。

陸軍はこの同盟に賛成でしたが海軍は反対。その理由はアメリカでした。アメリカとは日本の中国大陸政策で対立が深まっていた時期でもあり、ここで同盟を組んでしまうとアメリカとの衝突は避けられませんでした。

山本次官自身が、アメリカへ駐在した経験もあり、当時の国力の差をはっきり理解していた数少ない軍人でもありました。当時の海軍省大臣米内、山本次官、井上軍務局長の海軍トップスリーの尽力によって、史実においても、ここで一度、三国同盟は流れていましたが、このタイミングで、過激派による山本次官の暗殺危機が迫っていました。

そのため当時の海軍省大臣米内は、山本次官の命を守る為、連合艦隊司令長官に任命し、海軍省から身を引かせ、「海の上」に避難させます。山本次官は

「海軍省に留まらせてほしい」と懇願しますが、米内大臣は彼を海の上に送ります。これによって、山本次官は現場復帰となり、海軍省というある種「戦争をしろ」と命令する側から、現場の「連合艦隊司令長官」という「命令される側」に移ってしまいます。

その後すぐに、平沼内閣が総辞職し、米内海軍大臣も職を辞します。

その直後、東条英機内閣が発足し、現役の陸軍軍人が総理となり、この流れで海軍省もそれまで反対だった三国同盟に、賛成という流れができてしまいます。

そして、既に海軍省を離れ、「従う側の軍人」になっていた、連合艦隊司令長官山本長官は、この時代の流れによって、時の権力者からアメリカ攻撃を命令され、実行することになります。

とりあえず一つ目はここまでにしておきます(笑)

なぜ、いや、どうして山本長官は「航空主兵」に主眼をおいたのか?

 ご存知、山本五十六提督は「真珠湾攻撃」を成功させ、その後MI作戦(ミッドウェー海戦)で敗北するまで、栄光の連合艦隊を勝利に導いてきました。

その、所以はこれまで日本が伝統としてきた「艦隊決戦」という構想から「航空主兵」に転換したことにあるといわれております。

1905年、歴史的で、なおかつその後アジアの近代史を変えた、日露戦争での日本の勝利は、世界で最も有名な日本人の一人である「東郷平八郎」の指揮した日本海海戦の勝利によってもたらされました。

この時、日本海軍連合艦隊は、文字通り艦隊決戦によって、ロシアバルチック艦隊を撃破。この時、連合艦隊がとった戦術「トーゴーターン」はもはや伝説となっています。

ちなみにゲーム艦これにおいて「T字有利」「T字不利」のT字とは、「東郷ターン」の意味だとか。

この勝利から、「艦隊決戦」はいわば海軍の伝統と呼ばれるようになりました。つまり、すごーく簡単に言えば「戦艦と戦艦の打ち合いに勝利する」という事です。

ちなみに、映画では日露戦争を「日露戦役」と言う呼称で、呼ばれていますが、山本長官自身、巡洋艦「日進」に搭乗し、日本海海戦を戦っていますが、その際に事故によって左手の人差し指と中指を失っております。劇中では、店でお汁粉のお代わりをする際に、店員をしていた少女に指の少ない手に驚かれるシーンがあります。

この艦隊決戦という構想から、山本長官は「航空主兵」つまり航空機を活用した戦術に切り替えていきます。

実は、劇中、先任参謀の黒島と、海軍の重鎮参謀長宇垣が、以下のような言い争いをしています

 

作戦参謀三宅「ドイツの勢いは止まりませんね…」

宇垣「ああ、こちらも大和が完成すれば負けないさ」

 

「参謀長、これからの主役は航空機です。大和だの武蔵だの、一隻で、ゼロ戦が1.000機作れます」

「黒島!!いいか、艦隊決戦こそが我が海軍の伝統であり~」

 

というシーンです。

当時からこの日露戦争の勝利をもたらした艦隊決戦という思想は、この時期も多くの軍人、特に重鎮に持たれていたとされていますが、アメリカとの戦争を、日露戦争を引き合いに出して、なぜアメリカを打たない?というやりとりを、新聞社「東京日報」の宗像主幹(役:香川照之さん)しており、大国ロシアを打った日本は強いという、日露戦争の勝利はある種伝説となっていました。

その大元が、「日本海海戦」と「艦隊決戦」という事です。

しかし、山本長官の言うように、当時のロシアは革命の最中にあり、さらに史実では、日本が目当てにしていた賠償金は一銭も支払われておりません。

確かに韓国併合など、大陸における利権は獲得したものの、賠償金についても、相手国のロシアが「負けたわけではない」と思っているとも言われております。

つまり、長官自身もそれを理解していたわけです。長官自身、アメリカとの戦争は「先手を取って、早期講和しか道はない。それができなければ日本は滅びる」と、総力戦になれば必ず負けると理解していたわけです。

その手段として、長官がとった方法が「航空主兵」でした。実は長官はこの思想をアメリカ駐在時代から持っていたとされています。

そして、長官は海の戦いに革命を起こし、栄光の連合艦隊の歴史を作った後、今度はアメリカに航空機の重要性を改めて認識されてしまい、国力の差で戦争が長引いくにつれ、ついに日本軍は陸海空で敗北を続けます。

実際、ドイツ、ソ連、アメリカ、イギリスが戦った欧州戦線も、航空機による空の支配「制空権」は戦争の勝敗そのものを徹底づける要素となっています。

大和型戦艦の三番艦「信濃」が、戦中の日本海軍構造改革の証

ちょっと余談ですが、宇垣参謀総長が「大和が完成すればうちも負けない」という台詞も、当時の日本海軍としては、だんだん「航空主兵」の重要さに偏っていきます。

その代表例が、大和型3番艦「信濃」の空母転換でしょう。長官が劇中

「大和は落ち着かん」

と嘆いていた、最新戦艦大和ですが、元々大和型戦艦は、1番艦「大和」、2番艦「武蔵」そして3番艦「信濃」が存在していました。しかし、航空機の重要性が増すにつれ、戦艦の時代は終わりと当時の海軍も認識し始めた結果、3番艦信濃は、巨大空母として生まれ変わります。

ちなみに、空母信濃は史実では、1944年11月29日に、横須賀から呉に改装中に、米潜水艦により撃沈されております。

つまり、長官が「航空主兵」で結果を残し、「艦隊決戦」という海軍に根付いた「伝統」をぶち壊した、とも言えます。

そんな、海の戦いに革命を起こした、山本長官も、1943年4月18日、いわゆる「海軍甲事件」と呼ばれる、ブーゲンビル上空でのアメリカ軍による、長官搭乗機襲撃作戦で、長官は命を落とします。

その後の日本の戦いは、非常に苦しい戦いと、無謀な作戦を繰り広げ、長官が戦死後の海軍は、それこそ、連合艦隊のほとんどすべての艦艇を沈められるという、ある種全滅に近い形で戦争を終えることを見ると、長官の存在はいかに大きかったかを改めて感じることができます。

 

本作品は、難しい言葉を一切使わず、非常に見やすい映画になっていますので、ぜひ一度見てみてはいかがですか?

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タイトル 聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―
監  督 成島 出
出  演 役所広司、玉木宏、柄本明、柳葉敏郎、阿部寛、吉田栄作、椎名桔平
製作・配給会社 東映
公式サイト http://
公 開 日 2011年12月23日
上映時間 141分
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「連合艦隊司令長官山本五十六」は当時の日本海軍の様子を知るのに非常にわかりやすい映画です!!

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