戦争映画

朝鮮戦争をテーマにした戦争映画「 ブラザーフッド 」は、高いポテンシャルを体感できる戦争映画

この映画は1950年6月25日~1953年7月27日の間、韓国と北朝鮮の間に勃発した朝鮮戦争が題材となっています。朝鮮戦争とは、朝鮮半島の主権を巡り北朝鮮が国境線と化していた38度線を越えて侵攻したことによって始まりました。

表向きは韓国VS北朝鮮ではありましたがその実、韓国にはアメリカが、北朝鮮には旧ソビエト連邦が応援に付いた、いわば代理戦争だったとも言われて います。両軍アメリカ・ソビエト以外にもイギリスや中国など各国の参戦を交えての国際戦争となりましたが、その戦力は韓国側590,911人、北朝鮮側 260,000人と大きな差が開いていたようです。結局、戦争自体は休戦協定が結ばれたことにより一応の終戦を見ましたが、しかし現在でも朝鮮半島は南北 分断のままであるという悲しい結果を生んでしまいました。

この映画は、その戦争のさなか韓国人の兄弟が世の中の荒波に揉まれながら兄弟愛と狂気のはざまで織りなす人間としての本質を描き上げた傑作です。残 念ながら日本でのヒットには恵まれませんでしたが、本国韓国、それからアメリカにおいても在米韓国人を中心に大ヒットとなりました。

ブラザーフッド のあらすじ

物語の始まりは現在の韓国、戦場跡での遺骨発掘作業中『イ・ジンソク』という名前の入った万年筆が見付かり、調査団からの連絡を受けたイ・ジンソクが戦争での記憶を思い出しながら発掘現場へと向かいます。

1950年の夏、ソウルで靴職人を目指すジンテと学生のジンソク兄弟は、言語障害を抱える母親とジンテの婚約者でもあるヨンシンと、貧しいながらも 笑いの絶えない幸せな毎日を送っていました。しかしそんな毎日はソウルに攻め込んだ朝鮮人民軍によってあっけなく壊されてしまいます。必死で南に逃げよう とするジンソク家族ですが、その最中、軍としての兵力強化の為強制入隊させようとしていた韓国軍にジンソクが捕まってしまいます。

しかもそれを助けようと してジンテも捉えられてしまい…兄弟とヨンシン達は離ればなれの生活を余儀なくされてしまうのです。過酷な戦況、軍隊での辛い毎日から何とか弟だけでも助 けたい、そう思ったジンテは自分が手柄を立てれば弟を放免してやれるんじゃないかと、人が嫌がる危険な戦線への志願します。

しかしそんな兄の心情など何も知らないジンソクは、惨たらしい戦場への兄の志願を理解出来ず、仲の良かった二人の心は徐々に離れて行ってしまうので した。そんなぎくしゃくとした状態の中、やっと見えてきていた戦争終結が中国の参戦によりまた再び霞み、しかもヨンシンと母の残るソウルにまた戦火が迫る という状況になってしまいました。なんとかして家族を助け出そうと兄弟でソウルに向かったのですが、そんなジンテの目の前でヨンシンが韓国軍から銃殺刑に 処されてしまいます。生活の困窮を少しでも助ける為、北朝鮮側の労働奉仕にサインをしてしまっていたことがその原因でした。

自分たちの所属する軍隊に愛する人を殺された兄弟は、処刑を止めようとした咎を問われここで囚われに身になってしまいます。ここでバラバラになった のが兄弟の最後にして最大の不幸と言っても良いでしょう。ジンソクを処刑されたと勘違いしたジンテは、その処刑の命令を下した上官を殺し、監禁場所から逃 げ出します。そしてそのまま朝鮮人民軍の旗部隊の隊長として戦線を駆け回り、一人でも多くの韓国軍を殺すことにのみ己の存在意義を感じるようになってしま いました。ところが、兄を狂気の鬼へと変貌させてしまったジンソク処刑説自体が間違いだったのです。

こうして兄が敵方の先陣を切って鬼となっている事を知ると、今度は弟の自分が兄を救う番だ、とジンソクもまた最前線へと飛び出していくのです。線上の混乱の中、果たして兄弟はまた再び心を通わせることが出来るのか…切ない最後があなたの涙を誘います。

政治に分断される兄弟愛 ブラザーフッド の見どころは?

韓国映画と言えば、とにかく暴力的なシーンでのその描写力に定評があるのは有名だと思います。この作品も戦争を取り扱っている事もあり、その表現の 残酷さリアルさでは日本映画など足元にも及ばないでしょう。映画館の大きなスクリーンで見るには、直視を耐えられなくなるようなシーンがそこここにあり、 正視に耐えないシーンが続きます。

しかし物語が進むにつれ、傷ついた体をうじ虫がはい回る、などと言うのは目先の事なのだと気付いたのです。とにかくこの物語は主人公の兄弟、この二 人の相手を思いやる心に打たれる物語です。特に兄のジンテが『弟だけでも助けたい』と危険を承知で戦線に志願し、しかしその最愛の弟が殺されたと知るや否 やその姿は人間ではなく鬼に変わっていく、その変化がとても丁寧に描かれており、とにかく兄の弟を想う気持ちの重さに胸が締め付けられます。この感情をリ アルに感じる為には、やはりあの残酷すぎるシーン描写が必要だったのだな、と感傷御納得もしてしまいました。柔らかな笑顔で弟と談笑していた兄が、時間の 経過と共に徐々に表情を無くし、戦場の鬼となった顔には本当に狂気を感じてしまう程です。

そしてラスト、兄弟二人がやっと再会し、兄の表情が鬼から人間へと、弟を愛してやまない兄の顔へと氷が解けるように変わっていくその変化は、今思い 出しても涙が出るほどに私の心を捉えて離しませんでした。『戦争はいけない』だとか『戦争は悲惨さしかもたらさない』などと言った当たり前の感情を前提 に、鑑賞後私の心に残ったのは『弟を、妹を私は彼のように愛せているだろうか?大事に出来ているだろうか?』という事でした。平和な時代に産まれ、命の危 険を感じる事のない平和な毎日を過ごす私たちには、他人ではない血の繋がった兄弟だからこそないがしろにしている部分があるんじゃないか?きっとこのジン テのようにはなれないんじゃないかと思うほどの大きな愛を感じた映画です。

『韓国映画は残虐だから…』と避けてしまいがちな方にこそ、どうか見て欲しい戦争映画でり、そして自分自身の愛のあり方について今一度考えるきっかけとなって欲しい、そう思います。

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