アニメ映画「 火垂るの墓 」は、戦時下における人間関係の脆さと強さを学ぶことができる戦争映画だ

アニメ映画「 火垂るの墓 」は、戦時下における人間関係の脆さと強さを学ぶことができる戦争映画だ

火垂るの墓は実体験に基づいて執筆された物語を原作として作成されています。日本のアニメ映画の最高峰ジブリブランドの作品です。夢いっぱいをテーマにかかげる宮崎駿ではなく、ある種時代時代を切り裂いてきた高畑勲の力作です。

昭和20年頃の神戸大空襲が舞台です。

ジ ブリ作品はトトロありナウシカありとファンタスティックな作品が多く、この作品を同じジブリ作品と方を並べるのはとても違和感があります。神戸大空襲では 爆弾の投下とは違い焼夷弾が大量にばらまかれました。焼夷弾の現物を見たことがあるでしょうか。その残酷性たるや目に余ります。当時焼夷弾で焼け死ぬ人も いれば、焼夷弾そのものが体を貫通して亡くなる方もいます。これは無差別攻撃で、さらには軍部を狙ったものでなく一般市民が対象に行われた空襲です。

焼夷弾を投げた側には投げた側の正義があるのかも知れません。大日本帝国も連戦連勝してきた戦争で同じ事をしているわけですから何も言えません。そんな戦争に おいて市民の中には物語と言うに辛い物語が存在するのです。この映画は後に実写化され話題を呼んだ作品でもあります。

火垂るの墓 のあらすじ

冒 頭で主人公が自らの声で自分が亡くなったことを告げると、彼の回想のような形で物語が始まります。太平洋戦争まっただ中、規律を守る日本人は空襲警報がな ると防空壕に逃げ込みます。戦争で生き残るために防空壕に逃げ込むのだが、防空壕に間に合った人々は蒸し焼きにされ、間に合わなかった主人公とその妹は母 を失います。父は軍人として戦地に赴いています。海軍のちょっとしたお偉いさんです。父の死には直面しませんが、日本が負けたと言うラジオ放送で父にはも うこの世にいないことを悟ります。

身寄りの亡くなった兄弟は叔母の家に身を寄せますが、時代が時代、喰い口が多いほど生活は困窮します。戦 争が人々の心を貧しくする、ここにも戦争の爪痕があります。兄弟は日々の嫌みに耐えきれず何とか二人で自立しようとします。戦争中に作られた防空壕で新生 活です。しかしお金もない、仕事もない何もないでは食べるものがありません。日に日にやせ細る妹を見る主人公の切なさ。そして妹の死、すべてへの絶望、何に対して怒ればいいのか、仮にその怒りを受け止めるものがあったとして、だから一体なんなのか・・・。

主人公が死ぬ間際に見た最後の回想としては、余りに も切なくで救いのない回想が、この映画の物語になっています。

火垂るの墓 のみどころ

あなたが今まで見てきた戦争映画で一番印象に残っている映画はどれと言われてこの映画を挙げる人が何人いることだろう。この映画をしっかりと戦争映画と認識してくれているだろうか。私の中ではもう2度とまともに見ることの出来ない映画です。

冒 頭、主人公の声で自分が死んだことを告白します。作中大切な妹が栄養失調で無くなります。開始20分程度で母親が亡くなります。父は戦争で帰らぬ人となっ ています。母の死の描写は壮絶で、学校の校庭に大きな穴を開けて防空壕で蒸し焼きにされて無くなった方の死体を埋めるのですが、流れ作業で遺体をその穴に 投げ入れていきます。投げ入れられた死体の1つに主人公の母親らしき遺体があります。ここで悲壮感溢れる音楽を挿入しているわけでもなく、淡々と日常のよ うにシーンを描写していきます。

所見では頭から最後まで流れでこの映画を見ることが出来るでしょう。しかし私はこの母親らしき遺体が放り投げられるシーンでもうこの映画を正視することができません。上を向いていようが頬を伝う涙が止めどなく流れ落ちます。

今 の世の中人が一人死ねばテレビのニュースで取り上げられる時代、しかし戦争という時代では日常が死というもので満たされて溢れている・・・。アニメーショ ンでありながら、これほど深いてテーマを考えさせられる映画を、私は他に知りません。戦争の記憶が薄れていく中で、この映画は間違いなく次の世代に残さな くてはいけない戦争映画作品です。

タイトル 火垂るの墓
監  督 高畑勲
出  演 辰巳努 白石綾乃
製作・配給会社 東宝
公式サイト 公式ウェブサイトの情報は見つかりませんでした。
公 開 日 1988年4月16日
上映時間 88分
著作権情報 すべての映像及び画像の著作権はすべて著作者に帰属します。

アニメ映画「 火垂るの墓 」は、戦時下における人間関係の脆さと強さを学ぶことができる戦争映画だ

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