テンポの良いラジオトークでベトナムの姿を伝える戦争映画「 グッドモーニング,ベトナム 」の魅力

昨年(2014年8月)に遠いところに旅立ったロビン・ウィリアムス主演のベトナム戦争映画「 グッドモーニング,ベトナム  」です。この作品でロビン・ウイリアムスは、ゴールデングルーブ賞を受賞しました。ベトナムモノでもかなり異端な作品です。主人公は、後方支援部隊のAFVN(Armed Forces Vite-nam Networks ヴェトナム米軍放送)のDJで、もちろん非戦闘員です。

いくら主人公が非戦闘員だからといっても一発のタマを撃たなかったのは、今作と”ジョニーは戦場へいった”ぐらいです。画面はソフトですが、米軍の大組織病や、アメリカ白人のアジア人に対しての偏見、そしてアメリカの正義の押し売りなど、重いメッセージもきちんとあります。

このコンテンツは「 グッドモーニング,ベトナム  」のストーリーについての記載がありますのでご注意下さい。

軽快なトークとロックが魅力!「 グッドモーニング,ベトナム  」のストーリー

1965年米軍はありとあらゆる兵器をベトナムに送り込んできた。F-4ジェット戦闘機、B-52戦略爆撃機、枯葉剤、ナパーム弾。そして、コカコーラに代表されるアメリカ文化さえも兵器として送っていた。そんな時、ユナイテッド航空DC-3から一人のDJが降りてきた。名前はクロンナウア、他の基地で大人気のDJ、武器はトークとジョークそしてロックなノリ。テイラー将軍が目を付けスカウトしたのだった。

「Goooood Mooornig,Vietnaaam!!!」ジェームス・ブラウンのようにシャウトしてDJを始めるクロンナウア。ロックンロール、毒舌、モノマネ、ギャグ、今までの放送と明らかに違うノリ。これが最前線で戦う兵士が求めていた放送であった。ニクソン大統領のインタビューテープを切り貼りしてクロンナウア自身がニクソンと会話しているような放送までやってのけた。責任者には睨まれたが、クロンナウアは局一番の人気DJになった。そんな時、英会話学校に通う美しいベトナム人トリンに一目惚れしてしまう。トリンと親しくなるため、講師を買収してまでアタックしたのだが、うまくいかなかった。

そのかわりトリンの兄ツアンと親しくなり、いっしょにメシを喰ったり呑みにいく付き合いをするようになっていく。ツアンが米兵にからまれた時は自分を盾として守ってやった。

ある日クロンナウアが、行きつけの店でくつろいでいるとツアンがやってきた。トリンが会いたがっているというのだ。あんなに口説いてもなびかなかった、トリンがなぜ今ごろ?いぶかしく思ながら店を出た瞬間、店内でテロリストが仕掛けた爆弾が爆発した。黒煙と炎が渦巻き、血まみれの客が道路に投げ出される。呆然と立ち尽くすクロンナウア。前線での経験が無い彼が、初めて見る戦争であった。放送局に戻り自分が見た爆弾テロを放送しようとするのだが、国防総省の検閲に引っかかり放送すらできない。他のスタッフの制止を無視してマイクに向かい爆弾テロについてアナウンスした。重大な軍規違反のため、テイラー将軍も庇いきれずクロンナウアを停職処分にしたのだった。

ジョークも言えない、ニュースは検閲される。引退を考えたクロンナウアだったが、はある小さなきっかけでDJに復帰を決心するのだが、、、

曲と映像のギャップがベトナム戦争そのものだった。「 グッドモーニング,ベトナム  」のみどころ

クロンナウアが番組中にWhat a wonderful world(すばらしき世界)をかけた時の映像がこの映画のテーマです。歌詞を引用すると。

空には七色の虹がかかる/過ぎ行く人たちの表情も美しい/友人たちは握手を交わしながら「ご機嫌よう」と言い/心から「大好きだよ」と言い合う/しみじみ思うよ/この世界はなんて素晴らしいんだろう

 

この曲をバックに、UH-1で爆撃される村、爆弾テロで破壊されたビル、被害者の血まみれのサンダル、軍事裁判すらかけられず路地で銃殺されるテロリスト、ベトナム人のデモ行進を制圧するベトナム人警官隊、泥地を行軍する年端もいかない白人歩兵などが映ります。

すばらしき世界を創るためにベトナムで戦っているのに、なぜこんな不幸な映像しか映さないのか?それは、曲と映像のギャップがベトナム戦争そのものだからではないでしょうか?

「 グッドモーニング,ベトナム  」を見て、今のアメリカを重ねる事で、あなたもなにかを感じる事ができる作品です。

文:こんちゃんさん

タイトル グッドモーニング、ベトナム
オリジナルタイトル:Good Morning,Vietnam
監  督 バリー・レヴィンソン
出  演 ロビン・ウィリアムス フォレスト・ウィティカー
製作・配給会社 ワーナー・ブラザーズ
公式サイト http://
公 開 日 1987年12月23日
上映時間 121分
著作権情報 すべての映像及び画像の著作権はすべて著作者に帰属します。

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