レビュー

兵器、自国開発、量産することの意義 ① 歴史的に見る兵器国産の重要性

皆様、ミリマガでお世話になっております、金剛です。筆者は、8月初めて総火演(総合火力演習)の予行に行ってまいりました。

4年連続で抽選に落ちていた筆者にとっては非常に嬉しいことでしたが、実は筆者の知り合いを通じて、総火演の「予行」のチケットが手に入るという事でしたので、今回初参加となりました。予行とはいえ、その内容は本番と一緒。

また、会場はものすごい人であふれていました。予行は平日に行われるのですが、今日は祝日か?と勘違いするほどの人の入りでした。(当日は、本当に今日は平日か?と思うくらいの人でした(笑))

総火演には外国の軍関係者も

後で知りましたが、この総火演には諸外国の軍関係者も見学しているらしく、ある資料では、総火演は国民の自衛隊の活動を知ってもらうPRの場と同時に、日本の軍事力を世界にアピールし、抑止力として公開しているとも解説されていました。

自衛隊の兵器

前回のコラムでも、少しだけお話ししましたが、自衛隊装備の中でほぼ国産を占めているのは陸自、と海自です。

特に陸自の装備はほぼすべて国産。戦車、兵員輸送車や装甲車、迫撃砲等はほぼ日本企業によって製作されています。

戦車については、車体は三菱重工と戦車砲は日本製鋼所(JSW)。対戦車誘導弾等は川崎重工と東芝。自走砲の類は、車体は小松製作所、砲身はJSW、その他、携帯用対戦車兵器、装甲車、装輪装甲車、ミサイル関連も自衛隊装備はほぼオールジャパンで構成されています。

諸外国に目を向けますと、戦車を生産できない国は、例えばアメリカのエイブラムス戦車や、特に欧州地域で高い普及率を占めるドイツのレオパルドシリーズを輸入して戦車戦力の充実を図っています。

この辺は、流石、第二次大戦でも戦車王国の名をほしいままにしたドイツですね。

しかし、世界が軍事大国の装備を輸入しているのに対し、日本は独自の開発と生産で、自衛隊の装備を賄っています。

脈々と受け継がれる日本の兵器製造技術

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戦時中も陸海空の全ての装備を国産で装備した日本ですが、当時からその技術は存在しました。

海では、戦艦、空母はもちろん、日本の駆逐艦、特に「特型駆逐艦」シリーズは、世界の駆逐艦で見ても高性能で、特に有名なのは、終戦時数少ない生き残りであった「特型駆逐艦特3型」の「響」は、ソ連へ賠償艦として贈られ、長い期間ソ連艦隊の一員として「ヴェールヌイ」と名を変え、1970年代まで任務を全うしていました。この辺は近年アニメ「艦これ」やゲーム艦これで、知名度が上がったことで注目されていますね。

そして、旧陸軍での戦車戦力は、主力の95式軽戦車は2375両、97式中戦車チハシリーズでは2123両、合わせて4000両以上生産という工業力を見せています。その他89式戦車や、各種装甲車を含めればさらに生産量は増えます。

ちなみに、約70年前の第二次大戦時、戦車を開発、量産できる技術を持った国は限られています。

2000両以上の戦車を開発、量産した国は、ドイツ、ソ連、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、チェコ(ヘッツァー駆逐戦車含め)、そして日本でした。余談ですが、ポーランド、ハンガリー、スウェーデン、カナダ、オーストラリアと、第二次大戦に参戦(巻き込まれている?)しているこれらの国でも戦車戦力は自国開発、生産された戦車は存在しましたが、1000~2000両となると、限られてくるのだとか。

戦車開発量産できる国が超大国と呼ばれる中に、日本がその名を連ねていることから、日本の工業力の水準は世界的に見て高かったと言ってもいいと思います。

しかも、戦車開発のみならず各艦艇、戦闘機、攻撃機、爆撃機、各種艦艇、各種砲、小火器も生産可能な国として、日本が加わっています。

少し前に、ある雑誌で「日本の兵器の独自開発方針は失敗か?」みたいなトピックスを見かけたのですが、これはあくまで筆者の考えですが、大きな間違いであると思います。兵器の独自の開発、量産は絶対に必要です。

今回の題材は、「第二次大戦時のフィンランドに見る、兵器の自国開発、生産の重要性」という題でお話しさせていただきます。

日本の兵器開発失敗論は、調達価格の問題か?

先の、「日本の兵器の独自開発方針は失敗か?」という話ですが、これは恐らくですが、陸自装備の中で、調達費が高くてなかなか配備が進まない装備がいくつか存在することに所以するのではないかと思われます。

代表例は、87式対空自走砲と、89式戦闘兵車ではないかと思われます。

まず87式対空自走砲ですが、この車両アニメ「自衛隊彼の地で斯く戦えり」でも登場しており、結構有名な車両ですが、1987年に正式化され、2004年まで生産が続けられましたが、作られた数は何と52両。この52両を持って生産は終了しています。あまりにも少ない数字となりましたが、これは調達価格が1両15億円と非常に高価格で、なかなか進まなかったとされています。この車両自体がレーダー搭載など、技術的に非常に優れていた車両ですが、そのせいで価格が高騰したものと思われます。

また、同時に89式装甲戦闘車も、調達が68両を持って生産終了しています。
89式装甲戦闘車ですが、アメリカのブラッドレー装甲戦闘車と酷似していますが、兵員輸送とある程度の戦闘能力を有した車両という位置付けで89年に正式化しましたが、やはり68両という少数で配備が終了しています。この車両も一両6~7億と調達費が高くついてしまったことが、少数配備で終了したとされています。

ちなみに、同じ兵員輸送という位置付けで、陸自初の装輪装甲兵員輸送車として誕生した96式装甲車は、調達費が1億円だとか。96式装甲車は、現在までに373両が調達されていることから、やはり費用の問題が直結するのだと感じます。89式装甲戦闘車って、筆者としては結構好きなAFVなんですけどね(笑)

このように、費用が問題でなかなか配備が進まず、そのまま生産終了なんていう装備は他にもいくつかあります。

戦術スタイルの変化で「消えゆく戦車」

 

現在、陸自は戦車保有定数の削減を実行していますが、それでも戦力としての戦車部隊の維持することは決まっているようです。国によってこの兵力の方針は様々ですが、戦車戦力を全撤廃した国もあります。オランダがその例でしょう。

オランダの戦車部隊は現在、戦車運用の技術維持と訓練用の数量の戦車を保有するだけで、戦力としての戦車は全廃したそうです。

あまり話がそれないうちに話を戻しますが、これまで陸自の歴代の戦車保有数を見ると、61式戦車が560両、74式が873両、90式は341両、そして現在導入が続けられている10式戦車は2015年までに76両が調達されています。

また、新たな装備として、今年の総火演でも登場した、16式機動戦闘車を開発配備、そして、アメリカ海兵隊の使用するAAV7水陸両用車(アムトラック)導入を発表していますが、アムトラックも、国内でライセンス生産するのではないかと思われます。

アムトラック、そして16式の配備は、なんとなくですが離島奪還を想定していうのかなー、なんて個人的には考えます。(尖閣問題かな?)

このように、日本は装備を未だ自国で開発、量産できる国として存在しています。しかし、費用との問題が隣り合わせなのが現実ですが、それでもやはり自国で開発生産は必要不可欠だと考えます。

それは歴史的に見て、兵器開発が、自国ができなかったために、外交の選択肢を失ってしまった一つの国が存在します。それが第二次大戦中のフィンランドに見えます。

2度の奇跡を起こしたフィンランド軍 最初の試練「冬戦争」

フィンランドと言えば、オーロラで有名な北欧の国ですが、実は鉱業でもかつてニッケルの産出国で、今でも日本の貿易統計では、日本が輸入しているニッケル地金、硫酸ニッケル等で、相手国としてこの北欧の国の名前が出てきます。

そもそもフィンランドは、第二次大戦中、ドイツへ重要戦略物資であるニッケルを供給していたとありますが、実はこの北欧の国の永遠の宿敵が、ソ連でした(精練所があるそうです)。

ソ連軍侵攻

フィンランドは1917年のロシア革命時にロシアから独立し誕生した国家ですが、帝政ロシアからフィンランドによる自治を厳しく制限された歴史がありフィンランドのソ連への敵対心は並々ならぬものがありました。

そして独立後、1939年のドイツポーランド侵攻で始まった、第二次大戦において、ドイツとソ連がポーランド攻撃前に結んだ「独ソ不可侵条約」の密約として、ソ連はドイツに、バルト三国とフィンランドをソ連の勢力下に置く事を認めさせるという、悪名高き条約の基に、ソ連はバルト三国へ進駐。

そしてフィンランドにも、フィンランド国内へのソ連軍駐留と領土の割譲を迫ります。フィンランドはこれを拒否。

ソ連軍はフィンランドへ大軍を差し向けます。こうして始まったのが「冬戦争」(ソ・フィン戦争)です。

巨大なゾ連軍ではあったが・・・

ソ連は、兵力45万、戦車2000両、航空機3300機という大軍を率いてフィンランドに侵攻しましたが、相手が小国と見くびって、約2週間分の食料、弾薬、燃料しか持たず、侵攻を開始しました。

対してフィンランドは、名将マンネルハイム将軍を総司令とし、約31万人の兵力を動員していましたが、当然機甲兵力等は旧式で、ソ連軍と比べると大きく見劣りしていました。

こうした始まった冬戦争ですが、フィンランドの地形は、深い森林地帯が特徴で、この森を戦車の大群は突破できず、さらにほぼ全員がスキーヤーというフィンランド兵は深い森林地帯で機動戦を展開し、ソ連各部隊はあちこちで兵力では劣勢なはずのフィンランド軍に包囲されます。

そして、フィンランドのスオムッサルミ地区では、なんとソ連軍の1/4の兵力しか持たないフンランド軍が、ソ連2個師団を完全に包囲殲滅するという大戦果を挙げます。

ソ連軍の甚大な被害。そして講和へ

こうしてソ連軍は、フィンランドに対して大きな損害を被ることになりますが、ソ連軍は大きな損害を出しながらも力押しで攻め続け、最終的にはフィンランドは講和をソ連に提示し、ソ連も講和に応じました。結果、ラドガ湖周辺の地域など、フィンランドの国土の1/10を割譲しましたが、これによって独立は保たれました。

このような戦いぶりから「雪中の奇跡」呼ばれています。

ちなみに、この冬戦争時、それまで支援をしていたイギリス、フランスは、既にドイツに宣戦布告をしており、支援の余裕が無く、隣国のスウェーデンはわずかな義勇兵と武器弾薬を送ったが中立を宣言し本格的な支援は行わなかったとされています。

そして、冬戦争後もソ連は、引き続き横暴な要求をフィンランドに突き付けます。
その折、ドイツが西方電撃戦で、フランス、イギリスを撃破。ノルウェーもドイツ軍門に下り、スウェーデンは中立を保ったもののバルト海がドイツの勢力圏にあったため、経済的にドイツに依存する形となりました。そして、ここにきてドイツ軍がフィンランドに対し友好関係を迫り、これは支援のなくなったフィンランドにとっては渡りに船でした。そしてドイツの次の目標がソ連であることを明かされ、フィンランドはドイツに共同でのソ連攻撃の同意を求められます。

そして、フィンランドは攻勢参加を認め、ここにいわゆる「2度目の奇跡」につながる、「継続戦争」の道筋ができます。

すみません!長くなりましたので、その②に続きます!!

[aside type=”boader”] 参考文献 MCあくしず(イカロス出版)VOL26,27「枢軸の絆」
陸上自衛隊装備百貨(イカロス出版)
月間PANZER 2015年1月号(アルゴノート社)[/aside]

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