誰もが子供のころ一度は目にしたことがある銃といえば、「ワルサーP-38」だろう。身近なところでは銀球てっぽうや水鉄砲のモデルともなっているようだし、アニメ「ルパン三世」の愛銃としても有名だ。そんな誰もが知っているワルサーP-38を、マルゼンがブローバックガスガンとして発売した。マルゼン?と多くのユーザーが意外に思ったのではないだろうか。いままでのマルゼンからのジャンルから言えば、(過去はともかく)近年ではショットガンやマシンガンの近代的な銃器のモデルアップが多かった。ココへ来て、有名とはいえ大戦中の拳銃をラインアップしてきた事に少々驚きを覚えている。さて、マルゼンから発売されたワルサーP-38Walther P38 Pistol (ac41)の実力はいかがなものだろうか?
ナチス政権のワルサーP-38/Walther P38 Pistol (ac41)
1930年中頃にはいると、ドイツではヒトラーが政権を掌握し、その後は歴史の教科書のようにドイツ軍の軍備拡張がすさまじいスポードで拡充される事になります。ナチスは旧式化する個人火器対策として小火器の開発命令を発令し、その結果の一部として登場したのがこのワルサーP-38(Walther P38 Pistol)となる。開発はカール・ヴァルター社が中心となり、1930年代中頃から試行錯誤とテストが繰り返され、ドイツ軍採用と漕ぎ着けた。
使用弾薬は現在はもっともポピュラーな弾薬である9mm弾を使用し、サブマシンガンなどの他の小火器との弾薬共通性を持たせており、安全で安定した火力、それがこの「Walther P38 Pistol」である。
第二次大戦後は引き続き西ドイツ連邦軍により、「P1」として採用され、警察用や民間向(コマ−シャルモデル)なども数多く生産される事になる。優れたデザインと工学的な魅力は多くの人を魅了し、現在でもワルサーP-38の愛好家は世界各地に存在する。
マルゼン製ワルサーP-38は今までのイメージを打ち砕いたリアルなディティ−ルを実現
デスクに届けられたマルゼン製ワルサ−P38。箱はオレンジの色調で、箱には「Walther P38 Pistol (ac41)」と大きく書かれている。どうやら1941年型のワルサーP-38をモデルアップしているようだ。さて、いよいよあの「ルパン三世」の愛銃とご対面である。
中には全体がつや消しされたようなマルゼン製ワルサーP-38が箱に収まっている。箱から取り出してみるが、従来のマルゼン製品に較べてかなりの重量がある。また、銃表面の仕上げも非常に丁寧に仕上げられていて、かつ、「無骨な軍用銃」のディテールを箱出しの状態で見事に再現している。表面の質感といい、重量感といい、今までの「おもちゃぽい」マルゼン製品とはまったく別の製品である。
銃本体の刻印は、箱や説明書にも記載さているように、刻印なども1941年の戦時モデルをディティールアップしている。この刻印も、「打刻」したような雰囲気を再現しており、刻印のはしっこなどが「薄く打刻」される感じも再現されている。また、スライドを完全に引ききったところまでも、きちんと刻印が再現されていた。
作動機構では、ショート・リコイルをガスブローバックできちんと再現しているところは特筆すべき点だろう。多くのガスブローバックがこのショート・リコイルを省略する傾向にあるが、マルゼン製ワルサーP-38ではきちんと再現されてる。
このマルゼン製ワルサーP-38の細部までの作り込み具合は、今までのマルゼン製品とは一味も二味も違うようである。
ガスブロ−バックの反動はやや強く、発射パワーはサバイバルゲーム使用には十分
フロンガスとBB弾を装填して、野外でテスト射撃を行った。スライドを引いて初弾をチェンバーに送り込み、少し重めの引き金を引くと、
「ガシャ」
と勢いよくブローバックをして、前方にターゲットにしているペットボトルが一息置いて後ろへ倒れた。続けて撃ち続けてみたが、最後までBB弾を撃ち切ると、スライドストップがかかった状態で止まった。3マガジンクルー(約36発)を撃ったあたりから、ガス圧の低下を感じはじめ、4マガジンクルー目にはスライドストップがかからなくなってしまった。
ターゲットまでは約5メートルほどで、ペットボトルとアルミ缶を用意した。発射したBB弾は面白いようにターゲットに命中していく。「カンッカンッ」と小気味良い音を立てながら、ターゲットは次々と椅子から転げ落ちていく。
ターゲットにしたペットボトルとアルミ缶のダメージに目を向けてみると、ペットボトルの方にはまったく変化がないものの、アルミ缶は約0.5mm程度の陥没が確認できた。ターゲットまでの距離は約5メートル程度なので、それほど近すぎる距離でもない。これだけのパワーと命中精度があれば、箱出しノーマルの状態であっても、十分にサバイバルゲームで活躍してくれるだろう。
今回のテスト射撃ではHOPを使用する事はなかったが、当然であるがこのマルシン製ワルサーP-38にも可変(?)HOP機能は搭載されている。可変に疑問符が付いているのは、簡単には調整できる位置にはないからである。なあ可変には違いないが・・・。HOPの調整には六角レンチなどの工具が必要となるので、ゲームフィールドなどでの調整などは簡単にはてきないだろう。
余談ではあるが、マルゼン製のガスガンはガス漏れがすくないイメージがある。その実力は今回も遺憾なく発揮されている。マルゼン製ワルサーP-38のマガジンを丸2日ほどガスを注入した状態で放置しておいたが、フロンガスが抜けてしまう事はなかった。メンテナンス上フロンガスを入れっぱなしにする事はないと思うが、マガジンの気密性の高さは十分にあるようだ。
マルゼン製ワルサーP38でジャム(装弾不良)が多発!マガジンとスライドの接点に問題あり?
マルシン製ワルサーP-38は、ディテールはリアルで満足はできるし、ガスブローバックも好調だが、テスト射撃中に何度がジャム(装填不良)を起こしてしまっている。実銃と同様にリアルに再現している・・・訳ではないが、ジャムが続発するシーンもあった。
発生状況は、スライドがガスブローバック時に後退 → スライドが前進の作動に移行するとき、BB弾がチェンバーに上手く装填されずジャム(装填不良)となる。当然、BB弾が完全にチェンバーに送り込まれない為に、スライドは完全に閉塞することなく、少し開い た状態になっているのである。
室内でのテスト射撃の場合でも、屋外でのテスト射撃の場合でも、同じ頻度で同様のジャム(装弾不良)が発生している。マガジンも両手で温めて一定の温度でテスト射撃をしているので、フロンガスによる圧力不足とも考えにくい。あるいは単純に、新品のため、バリの存在や機械的なあ たりがとれずに摩擦係数が高い状態が原因のトラブルであり、個体差によって発生するものであるかもしれない。
フォトギャラリー
収集データー
本製品データー | 実銃データー | |
---|---|---|
名 称 | Walther P38 Pistol (ac41) | Walther P38 Pistol (ac41) |
メーカー | マルゼン |
カール・ワルサー社他
|
主要材質 | 合成樹脂及び亜鉛合金 |
鋼鉄
|
銃身長 | 117.5mm | 125mm |
全 長 | 215mm | 216mm |
重 量 | 720g | 945g |
口 径 | 6mm | 9mm |
初 速 | 未測定 | 350m/s |
パワー値 | 0.75J | 不明 |
照準具 | なし | なし |
パワーソース | フロンガス134a | 装 薬 |
給弾方式 | マガジン給弾 | マガジン給弾 |
発射速度 | 未測定 | 不明 |
発売日 | 不明 | |
撮影日 | 2003年6月16日 | |
購入店 | 店頭購入 | |
実売価格 | 14,910円(消費税別) | |
ポイントスター |
★★★☆☆
|