太平洋戦争のSMG(サブマシンガン)の中で代表的な銃器と言えば、トンプソンM1やシュマイザーMP40、そしてM3A1グリースガンではないだろうか?銃全体をプレス加工を中心とした製造ラインで、低コスト化と大量生産化を実現した。その「機能」と「生産性」を前提に設計されたグリースガンは、無骨なデザインの中に機能美が詰まったサブマシンガンである。
そんなグリースガンを、BB弾を撃ち出せてガスブローバックする製品として市場に投入してきたのが、ハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルだ。第二次世界大戦のトイガンのリリースが極端に少ない環境の中で、まさにマイノリティ(少数派)の為に思い切ったリリースをしてくれたものだ。第二次世界大戦の米軍リエナクターにとっては、まさに待ちに待ったリリースである。
今回モデル化されたのハドソン製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルは、製品名のとおりM3A1をモデルアップしており、M3の改良モデルとなる。第二次世界大戦後は、日本国自衛隊にも武器供与され、多くのM3/M3A1グリースガンが自衛隊の各部隊へ配備、運用されている。しかし、近年では部隊からその姿は完全に消えてしまい、現在では教育部隊や武器学校、展示用に保管されてるものだけになってしまっている。
ハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルのディティール
ハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルを購入し、早速箱を開けてチェックしてみることに。銃全体の素材はABSではるが、ブラスト風の塗装がほどこされており「無骨さ」は十分に出ている。実銃mpM3グリースガンに比べれば、全体の色調が比較的濃いようだが、「量産品」の良い意味でのチープな質感が出ている。実際に手にとっいぇもると、その「無骨さ」からは感じられないほど軽い事に驚かされた。
マガジンは金属製で作られており、重量としては実弾をフルロードした状態の重量はあるようだ。ハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデル本体に装着されている簡易ストックだが、ストックの付け根がプラスティックで構成されているので、恐らく硬度的にはないと考えて良いだろう。強い力がかかるような使い方をすれば、すぐに破損してしまいそうなくらいに、貧弱な機構でストックをホールドしている。サバイバルゲームなどの激しい使い方をする場合には、破損に十分注意する必要があるだろう。しかし、見た目のでデティールには手間をかけていようようで、実銃にあるような溶接痕の再現などは手を抜かずにきちんと施されていた。このあたりの仕事ぶりは「流石はハドソン」といったところだろうか。
各部のディティールは、同社のモデルガン用金型を利用しているのではないか?と思わせるぐらいに作りこまれてはいた。
ボルト部分は実銃と同様の機構を再現しており、ボルトにある窪み部分に指をひっかけるようにしてボルトを後退させる。早速後退させてみる。とてもスムーズとは言えない感じで、ボルト部分は後退した状態で停止する。引き金を引くと、このボルトが勢い良く前進して、弾が発射される「オープンボルト形式」を、このハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルでは再現している。
バレル部分は実銃と同様に大きく回転される事で簡単に取り箸ができるように作られている回せば簡単に外す事ができる。このアウターバレル部分を取り外すと、真鍮製 ぼインナーバレルが見えてくる。HOPの調整はここまで分解しないと調整は不可能で、しかも調整には6角レンチ工具が必要となる。東京マルイ製品のような「簡単なHOP調整」ができない以上、サバイバルゲームなどでの利用はかなり限定されてしまうだろう。
ダストカバーはも開閉可能で、ボルトがクローズドな状態であればカバーを完全に閉めてポートを完全に閉鎖する事ができる。ダストカバーの裏側を見てみると実銃と同じ様にクローズリ リースが再現されていてダストカバーを閉鎖していてもボルトが作動を始めたら、移動的にダストカバーは開く仕組みになっている。
非常によく出来たディティールをもつハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルだが、とても目につく残念な箇所がひとつだけあった。それは、トイガンだけにあるであろう「セフティの為のツマミ」だ。トイガンである以上宿命とのいうべきものだが、設置場所が悪いのかとにかく目立ってしかたがない。安全性の確保も重要なのだが、できれば2次ロット、3次ロットの際にでも、見えにくい形へと修正してほしい箇所だ。
まずはハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルのカスブローバックの雰囲気を掴むため、BB弾を入れない状態で、ガスだけを注入して試し撃ちをしてみる事に。
”ババババッバババッ!!!”
予想に反してかなり大きな、ご近所から苦情がでそうな位に大きな作動音がする。ブローバックもそこそこ勢いがあるようだ。今度はマガジンに BB弾を装填して試し撃ちをしてみた。
”ドッババババッバババッ!!!”
ボルトが思った以上に激しい動きをしながら、ブローバックしている。反動も非常に大きく、銃全体が上部に持っていかれるような感覚を味あうことができる。マガジンに詰めたBB弾はジャムなどを起こすことなく全弾撃ち尽くす事ができたが、最後の10発前後はブローバック速度の低下が見受けられた。
ハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルのゲームでの有用性
サバイバルゲームでこのハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルを使うのはあまりおすすめできない。実際に外へ持ちだして試し撃ちなどをしてみて感じた率直な感想である。問題は以下の3点に集約される。
(1)マガジンの重量の問題
(2)マガジンのコストの問題
(3)HOP調整の問題
(4)銃本体の強度の問題
まず、マガジンの重量が非常に思いという事。サバイバルゲームに使用するとなれば、ある程度の本数のマガジンが必要とされる。例えば5本のマガジンをもって歩くとしても、それは結構な重量になってしまう。また、マガジンのコストの問題も直面する。1本5200円もするマガジンを一体何本用意する事ができるのか?
マガジンの問題点はまだある。マガ ジン全部のBB弾が装填されているところだ。拳銃ならグリップ内に収められているこの部分ではあるが、グリースガンでは常時外部にさらされている状態だ。 ここにホコリや砂塵などが混入すればチャンバーに吸い上げられる。常時メンテナンスが必要となる。
またサバイバルゲームに使用するための問題は、HOP調整がかなり面倒であるという事だろう。アウターバレルを取り外してからでないと調整できないとなれば、不便きわまりない。そして最大の問題点として挙げられるのは、本体強度の無さ、各パーツの強度不足が挙げられる。
ハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルを見て感じた事はこれはガスでブローバックの挙動を楽しませてくれる「モデルガン」であるという事だ。
リエナクターの為の ハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデル ではないだろうか?
サバイバルゲームに不向きなのは仕方ない。ではハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルはダメなトイガンとなってしまうのか?いや、そうではない。ただBB弾を撃ちあうだけのサバイバルゲームには向いていないだけなのである。ハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルは、装備やコスチュームに重点を置く「リエナクトゲーム」にこそ、その価値を見出すことができるのではないだろうか?
リアルな外見とそこそこの性能。そして他のメーカーがあまり参入してこない「大戦中火器」として、ハドソン産業製 M3A1グリースガン ガスブローバックモデルがもっともアドバンテージを最大限発揮できる筈である。
フォトギャラリー
収集データー
本製品データー | 実銃データー | |
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名 称 |
M3A1グリースガン
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M3 Submachine Gun
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メーカー |
ゼネラルモータース
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主要材質 | ABS強化プラスティック、Fe、他 |
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銃身長 | — | 20.32cm |
全 長 | 574mm(ストック伸長時757mm) | 57.0cm |
重 量 | 2.750kg | 3.696kg |
口 径 | 6mm | .45ACP |
初 速 | 未測定 | 280m/s |
パワー値 | 約0.62J | — |
照準具 | なし | なし |
パワーソース | フロンガス134a | 装 薬 |
給弾方式 | マガジン給弾 | マガジン給弾 |
発射速度 | 未測定 | 450 rounds/minute |
発売日 |
2002年6月後半
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撮影日 |
2002年7月28日
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購入店 |
店頭で購入
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実売価格 |
13.400円(消費税別)
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ポイントスター |
★★★☆☆
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