銃器メーカの老舗であるレミントン社が製作するM870ショットガン。このショットガンは銃器ファンで無くても、映画を見ることがある人であれば知らない人はいない程有名な銃器のひとつだ。戦場だけではなく、時にはゾンビを撃ち倒し、エイリアンをも吹っ飛ばす「ハリウッド御用達の銃器」である。1950年にレミントン社から発売されて以来、 軍用や警察用を始め、いろいろなバリエーションが発売されており、既に400万丁以上のセールスを達成しているベストセラーなショットガンだ。
そんなM870ショットガンを余すところ無くリアルに再現したモデルが、今回タナカワークスから発売されたレミントンM870ショットガン(Model 870 SHOTGUN)なのである。
作動方式も実物と同じ。好評のガスカート・システム
私は最近、タカナの発売する製品から目を離せない。事実、もっとも購入してレポートを作成しているトイガンメーカーは、今回紹介するM870ショットガンの製造メーカーであるタナカワークスである。 ペガサスシステムを搭載したリボルバーシリーズをはじめ、モーゼル98K、レミントンM700、米軍狙撃銃のM24と購入してレポートとして公開している。
これらの製品に共通するのは、メーカーがデティールへ執着と再現性に注力して、BB弾を発射するトイガンでありながら、実銃の機構を極力再現して、トイガンのギミックに取り入れるコンセプトに非常に共感が持てるからに他ならない。これらのメーカー側のポリシーが、最終的に『モデルガン品質のガスガン』を生み出す結果に繋がっているのである。
今回発売されたM870ショットガンにも、このタナカの製造ポリシーは十二分につめ込まれた製品となっている。タナカがリリースしたショットガンでは第一作目となるM1897ショットガン。こちらでも採用されたガスカート・ システムを、M870ショットガンにも採用されている。
ガスカート・システムとはショットシェルにフロンガスとBB弾を装填し、更にシェルを銃本体に装填してから使用するシステムだ。BB弾発射にはシェルにガスとBB弾装填、そしてシェルをショットガンに装填する一連の作業が必要で、正直非常に手間は懸かる。が、実銃と同じ弾薬装填のプロセスを楽しめる事ができるのである。
また、カートシステムの採用する事で銃本体にパワーソスのフロンガスを注入する必要がなくなり、ガスを送り込むギミックは銃本体には組み込まれない。銃本体はBB弾を発射するだけの機能が搭載されるだけなので、まさにモデルガンと同等、いや、実銃と同じギミックだけが組み込まれている。
BB弾を発射する為のパワーソースとBB弾は、すべて小さなショットシェルに組み込まれている。言い換えれば、このショットシェル自体がトイガン本体であり、M870ショットガンはそのトイガンからBB弾を撃ちだす為の発射補助機能といったところか。ともかく、モデルガンと同等のプロセス、いや、実銃のギミックを見事に再現した、「モデルガン以上のガスガン」を実現したトイガンである。
ショットシェルを装填してポンプを引く。それほど力を入れなくても、ポンプは『カシャーン』と乾いた金属音と共に後退して、押し戻し時にはショットシェルがチャンバーに装填される。重めの引き金を引くと、実銃と同様にインナーハンマーを用いた撃発方式でショットシェルを叩いてBB弾が発射される。
BB弾を3発装填しているので、発射時のパワーはかなり弱めだ。が、それでも同時にある程度拡散して飛んでいくBB弾は、まさにショットガンの迫力を余すところなく再現している。
想像もできなかった迫力の金属製フレーム
かつてのトイガンは、発売される製品の材質ほとんどがプラスティク製だった。日本の遊戯銃史の中の過去2度のモデルガン規制で、金属製モデルガンが市場から姿を消してしまい、プラスティック製のモデルガンの流通が主流となった。少し残った拳銃型金属モデルガンも。金色や白色など着色が施された製品だけが流通するだけになってしまった。ライフル系については、拳銃型ほど厳しい規制はなかったが、それでも新製品となるとプラ製のものが市場の大半を占めていくことになる。
当然、エアガンについても、弾丸(BB弾)を発射できる機能を有するだけに、モデルガン以上に金属製のものはタブー視されていた時代があった。
そんな時代があった?と、過去形にしてしまってもいいのかどうかは解らない。「金属製であってはならない」とはモデルガン規制法であって、そもそもエアガンには当てはまらない法律なのだ。が、トイガン業界は自主規制する事で、トイガンがモデルガンのように警察権力による規制介入を防ぐ努力をしていたようだ。が、そういった訳か現在では流通する多くのトイガンが金属製フレームになってしまった。これはこれでリアル派の私としてはとてもありがたい事なのだが、かつての規制はなんだったのか?警察権力の介入する不安要素は無くなったのか?と疑問に思うときがある。
そんな時流に乗ってか、今回のM870はもちろん金属製フレームでの発売だ。ズッシリと重たい金属製フレームは、銃口を覗かなければ「とても仕上げのいい実銃」である。重さはなんと2500g以上もなるのである。
ストックはポリスモデルをモチーフにしているブラックプラスティックで、バレル長はもっともオーソドツクスな14インチと、全体的にポリス仕様を意識したモデルとなっている。
ショットガンのポンプアクションはやみつきになる
ショットガンを手に入れれば、だれもがやるのがポンプを『カシャカシャ』する行為ではないだろうか。ショットシェルを勢いよく装填して、すばやくポンプを作動させて排莢を楽しむ行為を時間み見つけては繰り返してしまっている。他のトイガンよりも圧倒的にカラ撃ち回数が多く、意味もなく発作的に作動させて楽しむのも、ショットガン系モデルの楽しみ方のひとつではないだろうか。今回のM870ショットガンも例外ではなく、リ アルな機構とデティールから、連日『カシャカシャ』行為が行われている。こうやってレポートを書いている最中でも、時折『カシャカシャ』としてしまう。これはもう、どちらかと言えば一種の中毒症状だと自認している。
この『カシャカシャ』だが、タナカのM870ショットガンで若干問題が発生してしまっている。あまりにも激しく作動させすぎなのか為なのか、ショットシェルの先端が割れてしまったり、クラック(ヒビ割れ)が入ってしまう状況が発生してしまっているのだ。問題のショットシェルはプラスティック製なので、あまり激しいアクション動作には向いていない。どうやらチューブマガジンから薬室に装填される時に、干渉と大きな力が加わってしまっているようであり、どうもこのあたりがショットシェル破損の原因となっているようだ。破損する時間にばらつきはあるものの、速いものなら30回から40回くらいの装填と排莢でクラックが入ったり、ショットシェルの先端が割れたりしてしまう状況が発生している。この部分は今後の改善策が欲しいところである。
また、立射状態(まっすぐ立った状態)でショットシェルを排莢した場合、地面からの高さや、ショットシェルが落下した地面の硬さによってはガスがすべて抜けてしまう事が何度かあった。落下の衝撃でバルブが開いてしまうのだが原因だが、これにも何らかの対応策が必要になってくるだろう。
改正銃刀法規制の今後。小さな市民権をいかに守るか。
改正銃刀法が施行された今、一部のユーザーがトイガンに求めていた『パワー』というものには法律上の一定の線引きが施され上限が決まってしまった。今後、この『パワー』へのベクトルは『リアルトイガン』の方へ傾いていくのではないかと考えている。いや個人的妄想というべきかもしれないが、トイガンユーザーは今後より実銃に近いリアルな機構 やデティールをトイガンへ求めてくるのでは?と考えている。そういった点では、今後リリースしてくるリアル派のタナカ製品からは目を離せない日々が続きそ うだ。
銃刀法といえば、2007年2月20日からトイガンのパワーが規定された『改正銃刀法』が施行された。賛否両論いろいろな意見があるが、私はこれでトイガンは一応の『市民権』を得たと解釈している。
悪質なパワーアップ行為は当然排除されるべきではあるが、今回の法規制が、一部の薬漬けのジャンキーが改造銃で自動車へ発砲するといった事件を起こし、その バカタレのケツを我々が拭かなければならなかった所には、大きく憤りを感じる。しかし、そのバカタレ薬中患者が改造パーツを入手したりできるこの業界の土壌にも大いに問題は大いにあった。責任追求をするとすれば、パワーアップを売りにした広告や宣伝、それを許してきた業者や業界にあったと考えている。
今後は、とても小さいがトイガン業界が得たこの『市民権』を、いかに守っていくのか?私達はこの事を真剣に考える必要があるのではないだろうか。
小さな一歩ではあるが、私達が今一度自宅にあるトイガンの弾速測定を行い、法令に抵触する可能性があるものならば、合法処理(警察への提出)を検討してほしい。私達ファンの中から、準空気銃で検挙される事のないように十分注意が必要だ。
フォトギャラリー
収集データー
本製品データー | 実銃データー | |
---|---|---|
名 称 | M870 |
M870
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メーカー | タナカガンワークス |
REMINGTON/USA
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主要材質 | 耐衝撃性ABS,Zn,Fe |
Fe
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銃身長 | ||
全 長 | 870 mm |
925mm(各サイズあり)
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重 量 | 2620g | 3200g(サイズにより変動あり) |
口 径 | 6mm | 12GUAGE |
初 速 | 未測定 | — |
パワー値 | 0.55J | — |
照準具 | オフショナル | オフショナル |
パワーソース | フロンガス134a | 装 薬 |
給弾方式 | パイプマガジン | パイプマガジン |
発射速度 | — | — |
発売日 | 不明 | |
撮影日 | 2007年3月2日 | |
購入店 | 49,280円(消費税込) | |
実売価格 | 通信販売で購入 | |
ポイントスター |
★★★★★
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外部リンク