せめぎ合う「善」と「悪」。一兵士の視点でベトナム戦争を描く戦争映画「 プラトーン 」

今回紹介する戦争映画は、第59回アカデミー賞で作品賞を受賞したベトナム戦争を一兵士の視点で描き切っている「PLATOON(邦題;プラトー ン)」。この作品が制作された1980年代後半は、ベトナム戦争を題材にした作品が多く制作されているが、その中でも先駆けとして絶大な存在感を誇る名作 です。監督は自身もベトナム帰還兵であるオリバーストーン。

舞台は1970年代のベトナム戦争。この頃ベトナムは南北に分かれて戦争をしていました。 ホー・チ・ミンが建国した社会主義の北ベトナム。これを認めないアメリカを始めとした資本主義国がベトナム南部に南ベトナムを作りました。つまり資本主義 VS共産主義です。南北ベトナムの背景にはもちろんソ連VSアメリカが絡んでいるわけです。この映画は戦争映画の語るべき鉄則を見事に取り入れています。

容赦ない戦闘シーンから隊内の人間心理、若者の本音やこの戦争の意味のなさ。そして軍にはびこる麻薬や非戦闘員の虐殺というベトナム戦争の暗部もしっかり と描写されている作品です。ちなみに、「 プラトーン 」というタイトルは軍隊の編成単位の一つで、30名から60名程度の兵士で構成される小隊の意味で、映画のストーリーもこの「 プラトーン 」を中心にして構成されている。

プラトーン のあらすじ

チャー リーシーンが演じる主人公クリス・テイラーは血気盛んな若者です。大学生である彼は自ら志願して戦場にやって来るところから物語は始まります。クリスは本 来なら学生は徴兵を猶予される立場でしたが当時特有の世間の雰囲気によって、または英雄願望によって感化されたいわゆる戦争を知らない若者でした。ベトナ ムの現地についたクリスは早速現場に回されます。

しかし戦争の現実は彼の想像をはるかに超えた苛酷なものだった。 歩兵師団に配属された彼は散発的な戦闘 を繰り返しながらジャングルを進軍していくことになる。次々と死んでいくなかま、延々と繰り返される戦闘の中すり減っていく精神。さらに小隊内は小隊長 バーンズと班長のエイリアスが対立し、バーンズとエイリアスは対立し小隊内は二派に分断されていたのだった。結果、仲間同士の疑心暗鬼を招き殺し合いにま で発展して行く。戦争の現実を目の当たりにして苦悩しながらも自分の正しい道に向かおうとするクリスの目線で物語られていきます。

プラトーン のみどころ

見 所は決起盛んに戦争に繰り出してきた主人公クリスが現実を目の当たりにして苦悩の中、成長や戦争についての考え方を見つけ出して行くところにあるだろう。 実際、この映画の中では善と悪、真実と虚偽といったような矛盾を、その2つの考え方の境界を明確に描写されていると感じます。

小隊長バーンズと班長エイリ アスの対立もその一部です。虐殺やレイプ、暴力の道をゆくバーンズに対して正義を貫こうとするエイリアスは唯一の正義です。しかし悪逆の限りを尽くすバー ンズもまた、兵士の闇の部分の真実です。善悪の対照的な上官を持つクリスも、2人の意思や現実に悩ませれながらも自分の道を選択していくことになります。

仲間の死や裏切りなど、選択の結果としては不幸な結果となる事が多いですが、戦争の無意味さやその非現実な環境を上手に描写している映画作品です。

実は、この「PLATOON(邦題;プラトーン)」までの戦争映画は、どれもこれも、実にいい加減な小道具が使用されて撮影されている事が多かった。主力の M16小銃もM16モドキであったり、装備品や戦闘服などもベトナム戦争時代の装備品でないものが多用されていた。つまりは、時代考証がまったく出来ていない作品が余りにも多かったのである。

しかし「PLATOON(邦題;プラトーン)」では時代考証をしっかりと行った、初めてのベトナム戦争映画といって も良いぐらいに、徹底的にリアリズムを追求して制作されている。その時代考証の正確さは、映画の本編をひと目見れば誰もが納得できる出来栄えの戦争映画である。

タイトル プラトーン
オリジナルタイトル:PLATOON
監  督 オリバーストーン
出  演 チャーリーシーン
製作・配給会社 オライオン・ピクチャーズ/ワーナー・ブラザーズ
公式サイト 公式ウェブサイトの情報は見つかりませんでした。
公 開 日 1986年12月19日
上映時間 120分
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