戦争映画

本物の街を破壊する「レマゲン鉄橋」のド迫力戦闘シーンがすごい!

本物の街を破壊する「レマゲン鉄橋」のド迫力戦闘シーンがすごい!

「レマゲン鉄橋」は、ライン川に架かる最後の橋を巡って展開される、局地戦を描いた戦争映画の傑作。実際の市街地を破壊する本物の魅力溢れる戦闘シーンや、エルマー・バーンスタイン作曲による抒情性豊かなテーマ曲、そしてジョージ・シーガル、ロバート・ヴォーンをはじめとする重厚なキャストが作品全体に格調の高さを与えています。

DVDで観ても面白いですが、できれば映画館の大画面で鑑賞したい戦争映画の筆頭です。1969年製作のアメリカ映画。

攻める連合軍と敗走するドイツ軍、決死のライン川大攻防戦

「レマゲン鉄橋」はライン川に架かる最後の橋を巡る連合軍とドイツ軍の攻防を、壮大なスケールと抒情性で描いた戦争映画の傑作です。原題は「The Bridge at Remagen」(レマゲンの橋)で、舞台になった鉄橋の正式名称はルデンドルフ橋といいます。

この橋は連合軍侵攻後に崩落し、現存しないため、映画はチェコスロバキアのダヴレスキ橋で撮影されました。監督のジョン・ギラーミンは英国人ながら、「タワーリング・インフェルノ」などのアメリカ資本の大作映画で名を上げました。戦争映画は本作のほかに「ブルー・マックス」があります。主演のジョージ・シーガルが演じたハートマン中尉は、実在する米軍第9機甲師団第27機甲歩兵大隊A中隊長のカール・ティン・マーマン中尉がモデルになっています。音楽は「荒野の七人」や「大脱走」のエルマー・バーンスタイン。

壮大なスコアを得意とする作曲家ですが、ここでもこの映画に相応しい格調高い作品に仕上げています。近年では、テレビ朝日系「いきなり!黄金伝説」の番組中の挿入曲として流れたことで再評価された曲でもあります。「レマゲン鉄橋」は世界各国で上映され、日本では1970年3月21日にスーパーシネラマチェーンで公開され、大ヒットしました。娯楽作のイメージが強いですが、雑誌「映画芸術」の1969年度批評家選出ベストテンで19位にランクされるなど、戦争映画としての芸術性も評価されています。

「レマゲン鉄橋」のストーリー

第2次世界大戦末期。ドイツ軍の敗色が濃くなった1945年2月、連合軍はドイツの要衝である首都ベルリンに向かって進撃を開始。ドイツ軍はそれを阻止するため、ライン川に架かる橋を次々に爆破する作戦に出ます。

その結果、最後に残ったのがレマゲン鉄橋。軍上層部の命令に反し、フォン・ブロック将軍(ペーター・ヴァン・アイク)は、自国軍や市民を避難させるため、腹心のクルーガー少佐(ロバート・ヴォーン)に橋の爆破を引き延ばすよう密命を下します。クルーガー少佐が赴任地に着くと、書類上の兵員とは異なり、わずかな兵力と爆薬しかないことを知り、愕然とします。兵力の増員を軍に要請しますが、なしのつぶてで埒があきません。

一方、レマゲン鉄橋が残っていることを知った連合軍は、ハートマン中尉(ジョージ・シーガル)を中心とする第27機甲歩兵大隊を派遣。侵攻を続ける連合軍の攻勢に危機感を持ったクルーガー少佐は橋の爆破を決意します。ところが爆薬の威力が弱く、橋の爆破に失敗。

結局、連合軍の侵攻を許した責任を取って、クルーガー少佐は銃殺刑となります。クルーガーは刑の執行直前に煙草をくゆらせながら、空を見上げてつぶやきます。「誰が敵なのだ」と。

リアリティ溢れる戦闘シーンが「レマゲン鉄橋」の魅力

数ある戦争映画の中でも、「レマゲン鉄橋」のような戦闘シーンがずば抜けて素晴らしい映画は珍しいです。中でも中盤で市街地が破壊されるシーンは、圧巻の一語。1969年の製作ではまだCGも無い時代。撮影では実際に破壊するしかありません。

チェコスロバキアのモストという地区が折よく都市再開発中で、プロデューサーのデビッド・L・ウォルパーは自治体と交渉し、街を破壊する権利を獲得します。自治体にしてみれば爆破の手間が省け一石二鳥で、その結果リアリティ溢れる戦闘シーンの撮影が実現しました。

そして、「レマゲン鉄橋」のもう一つの魅力は、連合軍とドイツ軍に分かれ、さまざまな人間模様が交錯する群像劇としての完成度の高さ。アメリカ資本のため、ハートマン中尉をはじめとする連合軍側の視点で描かれていますが、実際にはロバート・ヴォーン演じるクルーガー少佐の苦悩や行動が物語の中心になっています。

敗走する側の視点に立ってこの映画を観ると、また違った味わいがあります。この映画は、上層部の命令に反し、自国民を避難させるためにレマゲン鉄橋の爆破を遅らせ、結果連合軍の侵攻を許したフォン・ブロック将軍やクルーガー少佐のヒューマニズムが隠れたテーマになっています。つまり、戦争映画の形を借りた人情劇でもあるのです。

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