「 オールウェイズ 」は、壊すものから人を導くものへ生まれ変わった爆撃機を中心に描く人生の再生ドラマ

戦争映画ではないが爆撃機が登場するのでご紹介する「 オールウェイズ 」。「ジョニーは戦場へ行った」の原作者ドルトン・トランボが脚本を書いた「ジョーと呼ばれた男」のリメイク作品。時を第2次世界大戦時から現代(1989年) に移し、舞台を戦場から森林火災(ある意味戦場ですが)に移して、スピルバーグがメガホンをとりました。またオードーリー・ヘップバーン最後の出演作でも あります。

愛する人、相棒を失った人の再生物語でもあり、世代交代の物語でもあり、真摯に仕事に向き合う人たちのストーリーです。

オールウェイズ のあらすじ

広大な森林を持つコロラド州。だが一度森林火災が起きると、地上での消火が困難になります。そこで第2次世界大戦時の爆撃機や飛行艇を改造した「ウォーターボマー」を使い、空中から水や消火剤を散布し消火を行います。

主人公ピートはダグラスB-26Cインベーダーで消火飛行中に、同僚パイロットアルが乗るコンソリデーテッドPBYカタリナのエンジンが燃えている のを目撃します。インベーダーの消火剤を使いカタリナの消火には成功するのですが、インベーダーの燃料タンクに炎が入り爆発。未来を語りあった管制官ドリ ンダを残し帰らぬ人となります。同僚のアルはこの事故をきっかけに現役を引退、消火専門パイロット養成学校の責任者となります。

死亡したピートは、「導くもの」として役割を与えられます。「導くもの」とは誰かに寄り添い助言を与える守護神のような役です。導かれた人は助言が自分のひらめきや考えのように思いますがそれは「導くもの」の助言です。

消火専門パイロット養成学校生徒テッドに助言を与え、一人前の消火パイロットに育てるため奮闘するピート。テッドのデキの悪さに愛想を尽かしたアル がスカウトしてきたのは、ピートと死に別れたドリンダでした。お互い惹かれあうドリンダとテッド。ピートは「導くもの」に徹してテッドに助言を与えるか、 「死に別れた恋人」としてテッドに接するか苦悩します。

そんな時森林大火災が起こり、消防士6名が炎に取り残されます。ウォーターボマーで消火剤を空中散布し、川までの避難路を確保しないと命にかかわり ます。アルの制止を振り切ってインベーダーに乗り込むドリンダ。ピートは「導くもの」としてドリンダに助言を与えるのですが・・・

オールウェイズ のみどころ

飛行機をCGや特撮を使わずに実機で撮影しています。破壊のために製造された兵器が、仲間や森林を守るため業火の上を飛行するシーンは美しく、たのもしく撮影されています。

主人公ピート、ヒロインドリンダの愛機ダグラスB-26「インベーダー」は影の主役です。攻撃機として設計されましたが、後年爆撃機にカテゴライズ されました。ネットでは「インベーダー」をA-26と表記している場合もありますがカテゴライズ変更があったのが1948年のため、本稿ではB-26と表 記します。C型とB型があるのですが、撮影に使われたのはC型です。爆撃のため機首をガラス張りにしたのがC型、B型は機首にブローニング1/2インチ機 関砲を6門装備していました。

「ウォーターボマー」に転用する際にC型のほうが都合良かったのでしょう。初飛行は1942年、1972年の退役までに第2 次大戦はもちろんベトナム、インドシナ、朝鮮、コンゴなどあらゆる紛争地域を飛んでいます。第2次大戦では、沖縄を爆撃した記録があります。

相棒アルの搭乗するコンソリデーテッドPBYカタリナは影の相棒です。アルのキャラクターのように、ややおっとりとした印象ですが美しい機体です。 また主翼をパラソル配置(ボディから離れた高翼単葉 日本機では九七式飛行艇が有名)した特徴ある機体も印象的です。そして、この映画唯一の飛行艇でもあ ります。オープニングで湖にカタリナがタッチ&ゴーで給水するシーンは大迫力!みどころの一つです。第2次大戦では、九七式飛行艇と交戦し撃墜された(太 平洋戦争初の被害)不名誉な記録もありますが、黎明期の海上自衛隊で使用されるなど日本となじみのある飛行艇でもあります。

戦後は9名乗りの大柄な機体を 買われ、カナダ ブラジル 台湾 などで旅客機として旅人と幸せな余生をすごした機体も多くあります。

名脇役たち(もちろん飛行機)についても触れておきます。

アルが連絡用に使用していた、セスナ337スカイマスター。この機体はボディの前後にプロペラを付けた双発機です。前のプロペラで「引き」後ろのプ ロペラで「押す」プシュ・プル推進方式を採用しています。アメリカ軍が観測機として運用していたのですが、視界が良く双発のため生存率が高いを理由に COIN機(Counter Insurgency-対暴動)として採用されました。もちろん装甲を追加装備し主翼下にミサイルや機銃をぶら下げてベトナムを飛びました。また武装せず にビラまきの機械やスピーカーを積んで、ゲリラ兵に降伏を呼びかけた機体もあったようです。

訓練校の練習機から、フェアチャイルドC-119C フライングボックスカー。名前のままの機体、ぜひ画像検索して下さい。カテゴリはもちろんC(輸送機)です。初飛行は1947年。台湾空軍では1997年 まで現役と息の長い機体です。色々な任務に就いていたため、人工衛星追跡機など変わりダネもあります。ベトナム戦争では、ガンシップに改造(20mmバル カン砲で武装)され、「スティンガー」と呼ばれました。訓練校の機体はボディ上部にジェツトエンジンを追加したタイプでインド空軍から里帰りした機体だと 思います。

あとビーチクラフト18、ベルUH-1B ,マクドネルダグラスDC-10などが画面のすみに映ってたりします。探してみて下さい。

タイトル オールウェイズ
オリジナルタイトル:Always
監  督 スティーブン・スピルバーグ
出  演 リチャード・ドレイファス ジョン・グッドマン オードリー・ヘップバーン
製作・配給会社 ユニバーサル映画
公式サイト 公式ウェブサイトの情報は見つかりませんでした。
公 開 日 1990年4月6日
上映時間 123分
著作権情報 すべての映像及び画像の著作権はすべて著作者に帰属します。

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