「 メンフィス・ベル 」は生と死の間にある戦場で、若き兵士たちが繰り広げる眩しい程の青春映画だ

「 メンフィス・ベル (Memphis Belle)」とは第二次世界大戦中に活躍した爆撃機シリアル・ナンバー41-24485のB-17Fの愛称です。イギリスに駐留し、ドイツへの爆撃を任 務としており、イギリス東部アングリアのバッシングボーンを母基地として、1942年11月7日から1943年5月19日まで滞在していました。25回の 出撃を達成した爆撃機の搭乗員は任務終了後母国アメリカへ帰国できることになっていて、メンフィス・ベルの最初の任務は、フランスのブレストにあるUボー ト基地への爆撃でした。25回の爆撃目的地内訳は、フランス18回、ドイツ6回、オランダ1回で、この作品では最後の任務である、ドイツ、ブレーメンの キール軍港への爆撃の様子を映画化している戦争映画だ。

メンフィス・ベルの25回の任務達成を広報として利用するため、1944年に制作されたドキュメンタリー映画のリメイク版として新鋭マイケル・ケイトン・ジョーンズ監督の手によって映画化、1990年に公開されたのが戦争映画の「メンフィス・ベル」です。

メンフィス・ベル のあらすじ

第二次世界大戦中、イギリス・バッシングボーン空軍基地に展開していた米第8空軍所属「メンフィス・ベル」号は24回出撃し無傷。爆撃ミッションを 25回達成した搭乗員は帰国出来ることになっていた。イギリス・バッシングボーン空軍基地を離陸し、ドイツ・ブレーメンへ向けて編隊を組んで飛行していく 爆撃部隊。上空ではBf109メッサーシュミットやFw190フォッケウルフ戦闘機との戦闘も交えます。

何機かが撃墜される中、メンフィス・ベルは敵の戦闘機工場上空に到達します。しかし、上空は雲に覆われ目標は見えず…。メンフィス・ベルは爆撃ミッ ションに成功するのか。ドイツ上空では更なる敵機の爆撃が。果たして彼らは無事基地へと帰還し、全25回の爆撃ミッションを達成することが出来るのだろう か。10名足らずの搭乗員はほとんどが10代の青年で彼らの最終出撃になる25回目の出撃の前後を描いたストーリーです。

ごく普通のアメリカの青年達が第二次大戦中爆撃機の搭乗員として任務を遂行する中で起こる心の葛藤や戦友同士の友情そして勇気などが描かれており、戦争映画というより青春群像劇の印象が強いかもしれません。

観終わった後に爽やかな感動が残る良作の戦争映画です。

メンフィス・ベル のみどころ

爆撃機の搭乗員としての青年達の心情がうまくストーリーに散りばめられており、戦争の悲惨さや戦闘シーンの美化なども過度ではなく、事実が淡々と綴 られている印象の映画です。若い青年達の心の葛藤は戦場でも現代の日常生活の中でもそれほど大きな変化はなく、死と隣り合わせの戦場においても初々しく感 じます。

戦争という切迫した状況の中でも成長し、あることを成し遂げることの素晴らしさを観ている者にも感じさせます。戦争によって多くの命が落とされる無 常さ悲惨さなどはあまり考えずに、ただ一生懸命当時の状況を生きた爆撃機搭乗員の青年達の物語を心で感じて欲しいです。メンフィス・ベルの搭乗員を演じる のはマシュー・モディーンやエリック・ストルツなど当時のハリウッド期待の若手実力派俳優たち。

また、作品がメジャー映画デビューとなったジャズシン ガー、ハリー・コニック・Jr.の歌う「ダニー・ボーイ」はE・ストルツ演じるダニーにシンクロして心に響きます。ダニーの詠む戦場には不釣合いな美しい 詩も哀しく、とても良い色を出していると思います。メンフィス・ベルをはじめとして、映画に登場する爆撃機の機体はとても美しく、最近のCGを駆使した撮 影と違って生の臨場感を肌で感じられると思います。

実機はやはり迫力があります。機内の様子やコックピットなどが実機のものなのかは未確認ですが、機体内の狭さや、壁の薄さなど、スクリーンを通してみるとリアルに再現されていて、対空砲火や機関法の射撃シーンでは、撃つ度に観ているこちらも身体が揺さぶられる感覚に襲われます。当時の搭乗員達はこん な機体の中で搭乗員同士葛藤しながら戦ったのですね。

メンフィス・ベル号の機体は実機を使用し、英国ダクスフォード博物館のB-17G「サリーB」というG型をF型に改造して撮影されました。そのため 本来のB-17F型には装備されない機首下部の機銃座を取り外してあります。尚、映画に登場したB-17F メンフィス・ベルの実機は、オハイオ州デイトン空軍博物館で現在はレストア中だそうです。いつかの日か、メンフィス・ベルの実機が一般に公開される日がやってくるといいですね。

タイトル メンフィス・ベル
監  督 マイケル・ケイトン・ジョーンズ
出  演 マシュー・モディン エリック・ストルツ テイト・ドノヴァン ジョン・リスゴー
製作・配給会社 ワーナー・ブラザーズ
公式サイト 公式ウェブサイトの情報は見つかりませんでした。
公 開 日 米国:1990年10月12日 / 日本:1991年2月8日
上映時間 107分
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