ベトナム戦争から現在まで多くの兵士によって使用され続ける「プロ志向の大口径ライフル」といえば、スプリングフィールドM14である事はトイガンファンであれば周知の事実といったところではないだろうか?そんなプロ志向のM-14ライフルをガスブローバック機能を搭載してモデルアップしてきたのが、台湾で一大トイガンメーカーとなりつつあるWE-Tech社だ。
同社はM4やHK416などのガスブローバックシリーズをリリースしているメーカで、近年では「ホットな話題」の銃器を早い段階でモデルアップして市場投入する戦略を取り、現在では世界中に多くのトイガンファンを魅了しつづけているメーカーだ。そのリリース速度は踊るべきもので、現在でもユーザーを飽きさせる事なく新製品を市場に投入し続けている新進気鋭のトイガンメーカーである。そのメーカーの最新作である「WE製M14ガスブローバック」とは一体どんなものなのか?COMBAT.CHが実製品を入手して気になる部分の画像とブローバック動画としてレポートする。
WE製M14ガスブローバックは重量感のあるデティールでリアル感は満点
WE製M14ガスブローバックの銃本体を箱から取り出してみてまず驚いたのは、その非常にバランスの取れた重量感だ。WE製M14ガスブローバックは非常に重量感がある製品となっている。それもそのはず、機関部主要パーツはすべてが金属製パーツで構成されており、実銃のM14ライフルと同等の重量感を有しているのである。
しかも、ただ「重たい」わけではない。実銃M14ライフルのウェイトバランスを上手く再現していて、このバランス感がWE製M14ガスブローバックを初めて持った時のリアリ感に繋がっている。実銃とのバランスが同じようにセッティングされているのであれば、WE製M14ガスブローバックを構えた時の感覚は、実銃のそれに等しくっている。
各パーツの再現性も非常によく仕上がっているといえる。日本製のような綺麗で丁寧な仕上げとはいかないのだが、この仕上げ感は軍用ライフルとしての無骨さをとても上手く再現するのにちょうど良いのかもしれない。フロント周りなども実銃と同様にいくつもの小さいパーツで構成されていているし、やボルト周辺部やチャージングハンドルとガスチューブ周りなども非常に良く再現されている。
従来のWE製品では製品の価格が比較的安い為に、こういった小さな部分はデフォルメされる場合が多かった。また、機構的にも低価格で安定してガスブローバック作動を実現する為に、機関部などの部分は機能優先のディティール無視の方針が採られる場合が多かった。特にM4/M16系が発売された際のブローバックシステムではブローバック時に真鍮製の長いパーツが見える現象、いわゆる「真鍮コンニチハ現象」が採用され、外見重視のトイガンファンからはネガティブな意見を数多く見られた。
この「真鍮コンニチハ機構」は、ブローバック作動時のガス消費の低減やマガジン本体の低価格など利点はいくつかあったものの、デティールのリアル差でウェスタンアームズ社製M4の方が国内外の多くのユーザーの支持を得る事になった。今回発売されたWE製M14ガスブローバックではこの点をいち早く改良し、「真鍮コンニチハ機構」を不採用として新しいブローバック機構をWE製M14ガスブローバックに盛りこんできている。
「真鍮コンニチハ機構」の廃止と新ブローバックシステムの採用、そしてリアルなデティールと実銃のバランス感が備わったWE製M14ガスブローバックは、日本のみならず世界中のトイガンユーザーを唸らせる製品になるだろう。
と、ここまでWE製M14ガスブローバックの良い点だけを見てきたが、もちろんWE製M14ガスブローバックにも残念なところはいくつか存在する。まずは標準で着いているストックだが、これはプラスティク製のブラウンストック。サバイバルゲームで使用するには軽く丈夫、ストック形状などの出来栄えも悪くはないのだが、プラスティク製であればオリーブグリーン、できれば木製ストックが欲しいところだ。
もう一点はスプリングフィールドのメーカー刻印が打刻されていない点が挙げられる。リアサイトやセミ・フルオートセレクター部分には切り替えの刻印はあるものの、ライセンスの関係でメーカー名などの刻印は見送られている。現在では、各メーカーや米国兵器工廠などのマーキングとシリアル番号が打刻されたモデルが晩梅され、同様に打刻されたフレーム部分パーツも別売で販売されている。
大ききM14のボルトが勢い良く後退する!大迫力のWE製M14ガスブローバック
WE製M14ガスブローバックは、銃本体を輸入通関する為に日本国内の銃刀法に適応されるデチューンが施されている。また、パワーソースも日本国内で入手が可能なフロンガス仕様にチューニングされているとの事だった。しかし、WE製M14ガスブローバックが手元に来るまでは、あの重量のありそうなM14の金属製ボルトが、フロンガス程度の圧力で軽快もブローバックするとは到底思うことはできなかった。
なぜなら、日本国内メーカーから販売されているガスブローバックガンよりもボルト全体の重量がある上に、金属加工面は少々雑でパーツ同士の摩擦係数が高そうだからだ。そして初めてWE製M14ガスブローバックを入手してからも、その不安は高まるばかりだ。なぜならば、本製品のボルトスプリング抵抗は思った以上に大きく、M14モデルガン並にスプリングのテンションが強かった。
しかし、それらの不安は一発目のブローバックで解消される事になる。引き金を引くと、予想とはまったく異なる強力なブローバックと反動、そして銃全体に伝わる後退振動でかなり驚かされ た。大きなボルトが後退する際に出す金属音は、M4/M16系のガスブローバックでは聞くことが出来ない非常に甲高い金属音だ。それではWE製M14ガスブローバックのライブなブローバックを動画でご覧頂こう。撮影環境は外気温が非常に高い(約34℃)となっている。
WE製M14ガスブローバックは「安かろう悪かろう」から脱皮した品質
このWE製M14ガスブローバックを見る限りでは、すでに大陸系メーカーは「安かろう悪かろう」の状態から脱皮して独自の技術と進化を遂げつつある。日本メーカーのトイガン製品が「おもちゃ」の延長であるのに対して、海外メーカーは「銃の模型」もしくは「銃具」としてのひとつのジャンルを形成しつつある。
数年前までは市場規模は小さくとも日本メーカーが世界市場をリードするジャンルだったが、今や日本製品にはその勢いも魅力も大陸勢に完全に押されてしまっている。これはトイガン製品のリリース間隔やトイガンマーケットシェアを見れば一目瞭然だ。日本メーカーにも世界に通用する製品を送り出して、再び世界のトイガンユーザーが欲しがるような製品を世に送り出してほしい。
フォトギャラリー
製品データー
本製品データー | 実銃データー | |
---|---|---|
名 称 | WE M14GBB | Springfield M14 |
メーカー | WE-Tech | スプリングフィールド造兵廠 |
主要材質 | プラ、亜鉛合金、スティール |
木、スティール |
銃身長 | 未測定 | 559mm |
全 長 | 1,118mm | 1,118mm |
重 量 | 約4540g | 4500g |
口 径 | 6mm | 7.62mm |
初 速 | 未測定 | 850m/秒 |
パワー値 | 0.8J | — |
照準具 | オプション | オプション |
パワーソース | フロンガス | — |
給弾方式 | マガジン給弾 | マガジン給弾 |
発射速度 | 未測定 | |
発売日 | 2010年7月中旬~下旬頃 | |
撮影日 | 2010年8月17日 | |
購入店 | ||
実売価格 | 48,800円 | |
ポイントスター |
★★★★★
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