前回に引き続き、コードマスターズよりリリースされた、FPS(一人称視点シューティング)ゲームの最新作『OPERATION FLASHPOINT: DRAGON RISING』を
衛生兵モラリス伍長の視点で、紹介していこうと思う。
<前回のあらすじ>
米海兵隊の衛生兵として、スキラ島での戦いに参加することになったモラレス伍長。島への上陸後に実施された奇襲作戦は一応の成功をおさめたものの、 仲間のノックス伍長が撃たれてしまう。
・・・とっさに身を伏せると、頭上すれすれを銃弾が容赦なく飛び交う。前方に目をやると隊長がノックス伍長を援護するように反撃を開始している。
その足下に仰向けに転がるノックス伍長。私はファーストエイドポーチから包帯を抜き取りノックス伍長の元に近づく。彼の服の袖が血でにじんでいる。肘の先を撃たれたみたいだ。ノックス伍長は「かすり傷だ」と言いつつ射撃体勢に入っている。素早く彼の腕に包帯を巻き付け、自分も銃を構える。敵の姿が見えない。
後方からの射撃音でウィンタース伍長の無事は確認できている。ノックス伍長は射撃体勢を維持したまま、前方の岩陰に滑り込みフルオート射撃を行っている。その横に匍匐前進で近づき、銃弾が飛んでくる方向をスコープをのぞき込む。前方の草むらの中にマズルフラッシュ。その上部にかすかに敵兵士のヘルメットが見て取れる。一呼吸おいてトリガーを引き込む。
肩にホールディングしたストックから軽い衝撃が幾度となく全身に響き渡る。時間にして2〜3秒か。草むらのヘルメットが崩れ落ちるのを確認。トリガーから手を離し周囲に目をやると、隊長が右手を指し「制圧射撃」と叫んでいる。
体の向きを変え、斜面上部に設置されたレーダーに向けて射撃を開始。ノックス伍長も、岩の上に銃を固定し射撃を始めている。隊長とウィンタース伍長は匍匐前進で右に移動していくのが見て取れた。マガジン2本分を撃ち尽くした時だった。敵からの銃弾が止まった。無線から隊長の声で「制圧完了、撃ち方やめ」の合図が。ゆっくりと頭を持ち上げ辺りを見回す。隊長がすでに移動式レーダーの近くにC4を設置しているのが見て取れた。「爆破」の言葉に条件反射で頭を下げ顎を引く。
敵兵器の破壊や拠点防衛といった任務では、ただ敵と戦っているだけではクリアできない。目的に合わせた戦い方を心がけよう。
爆発音に遅れて熱風が体を覆う。これで、当初の目的は果たした。辺りを警戒しながら隊長の下に集まり、無事を確認しあう。ノックス伍長の腕の傷も大したこと無いようだ。
爆破したレーダーの残骸の横を通り過ぎると、丘の下に小さな漁村が見て取れた。漁民の姿は無く、代わりに人民軍の兵士たちが慌ただしく動き回っている。レーダーの爆破を調べる為か、数人がこちらの丘の斜面に歩みを進めている。情報によれば味方部隊がすでに村を挟んだ反対側の丘に展開している筈だ。挟み撃ちでこの村を制圧すれば今回のミッションも終わる。
隊長が艦砲射撃の座標を無線で伝えている。丘を登ってくる一人の兵士をスコープに収めながら静寂の時間が流れていく。ヒュンヒュンと空気を切り裂く音が耳にこだますると、村の中心部が爆発で包まれていく。ずしりと重い地響きが体に伝わってくる。丘の中腹まで登っていたスコープの中の兵士も何が起こったのか理解するのに時間がかかるだろう。身を伏せて土煙で覆われた村の方を見やっている。
「制圧開始!」
隊長の声が響き渡ると同時に3点バーストが火を噴く。ゆっくりと崩れ落ちる敵兵士を確認しつつ斜面をすべり降りていく。
敵を確認する暇もなく、銃声のする方に弾を撃ち込む。丘の下に着く頃には前方からの銃撃が激しさを増している。あれだけの砲撃を食らってもまだこれだけの戦力が存在していたのか、と半ば感心してしまう。だが、ここで殺られる訳にはいかない。敵の銃弾が次第に三方向から飛んでくる。徐々に囲まれている。丘の反対側から進軍しているはずの味方部隊はまだこない。
その時、辺りを埋め尽くす銃撃音に混ざって「衛生兵!」の叫び声が聞き取れた。射撃をしながらすばやく辺りを見回すと、後方の茂みの間から味方の腕が伸びている。
トリガーから手を離し、ゆっくりと茂みに近づく。頭の横を銃弾が飛び、眼前に着弾する。舞い上がった土煙が目に入るが、そんな事は気にしていられない。早く仲間の元にいかなければ。
「衛生兵」と叫ぶ声が徐々に小さくなっていく。
10mほどの距離が長く感じる。ようやく茂みにつくと、倒れていたのはウィンタース伍長である。右肩下を撃たれているようだ。傷口から血が吹き出ている。
任務達成のため、共に戦うことになる味方の兵士。プレイヤーと同じく負傷すると動けなくなるので、戦力が低下してしまわないよう衛生兵に命じて治療を施す必要がある。
「もう、大丈夫だ」と声をかけ、ポーチからモルヒネ注射を取り出す。キャップを口で外し、注射針を傷口の横に突き刺す。一気にポンプを押し込む。ウィンタース伍長は、撃たれた事で小声で罵詈雑言を並べ立てている。止血パッドをあて包帯をまく。幸いにも致命傷ではないが、今、彼を動かすのは危険だ。「少しじっとしていろ」と声をかけ、再びライフルを握り、前方に向けて射撃を開始する。
「友軍が来たぞ!」隊長が叫ぶ。敵後方に味方兵士の姿が見える。これで助かった。形勢逆転である。敵兵士が一人、また一人と倒れていく。眼下に仰向けに倒れているウィンタース伍長に「助かったぞ」と言葉を投げかけると、痛みに引きつりながらも笑みを返してくれた。
敵の攻撃はすでに止んでいる。ウィンタース伍長の肩を支えながらゆっくりと立ち上がる。隊長が近寄ってきて、ウィンタース伍長に言葉を投げかけている。ウィンタース伍長も気丈に受け答えしている。
「作戦終了。帰投するぞ」
一際大きな声で隊長が叫ぶ。
明日から本格的な作戦が開始される。いつまで続くのかも判らない。ただ、今日無事であった事を感謝したい。
すでに日は傾き、夕陽に照らされた小さな漁村を後にし、脱出用ヘリに向かって歩みをすすめた。
現実と同様に、スキラ島にも昼夜がある。時には夜闇に乗じた奇襲任務を命じられることも……。
広大なバトルフィールド、緻密な戦略・戦術が求められるミッション、豪華な声優陣、また、オンラインゲームでは、仲間と協力しながらミッションを攻略できる、など、様々な魅力が満載の『OPERATION FLASHPOINT: DRAGON RISING』。
リアルな戦場を体感できるこのゲームを、一刻も早くプレイすることを、強くお勧めしたい。
※本文中の表現やセリフは、実際のゲームとは異なる場合がございます。